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​勉強机 その3

 中学時代からの友人に、勉強机を作ってほしいとの依頼を受けました。大手の建設会社に勤めていて、大学は建築科を卒業しているので少しおっかなびっくりではありましたが『勿論OK』と返事をしました。この話は、彼の自宅で友人たちと会食をしているときに出たものなので、いろいろ打合せをし、また、その後も費用や、種樹、大きさ、面取り方法、塗装(着色も含めて)メールでのやり取りをして、最終案が送られてきました。

 デザインとしてはシンプルですので、早速いつもお世話になっている服部商店に出かけて希望のハードメープルを入手してきました。ハードメープルは硬く、緻密で、表面が非常に滑らかでな一方、木目はそれほどはっきりしていません。木の厚みを調製し、矧ぎ合わせて天板の原型を作り上げることからの開始です。木を作業場へ運び込む時も感じましたが、かなり重いものです(勉強机にするのはもってこいですが、作業中の移動も一苦労です)

​ 作製は順調に進み、あとはステインを塗って、ウレタン塗装。普通は、ここまでくればしめたもので鼻歌交じりになるはずでしたが、驚いたことにオイルステインで色を付けると、表面がきれいすぎてうまく色が乗りません。それでは、と少し間をおいてステインが染み込むまでおいて、とすると色ムラが目立ち使い物になりません。3回ほど塗装をはがすなどの試行錯誤(小さな部材はそれほど難しくはないのですが、天板は140㎝x80㎝と広く、少しのムラでも目立つのです)。最後は、祈るような気持ちで、気を静めてから着色をして何とか乗り切る事が出来ました。

 ウレタンニスも、あまりに表面が滑らかなので、非常に細かなサンドペーパー(手で触ってもサンドペーパーとは思えないような20,000番というもの)でも傷が見えてしまうほどで、これも最後は、息をつめて塗り、布で磨くという工程にしました。

​ 先日、引き取りがてら工房に来てくれました。机を見てくれるまでは、出来上がりに満足してもらえるか不安でいっぱいでしたが、一目見て『これは上出来だ!!』とOKをもらいました。全身の力が抜けて、その後の我が家での夕食会でのお酒はいつもより回りが早かったような気がします。

​ 無事、彼の書斎に収まり、写真を送ってきてくれました。

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